事例1:タワマン節税に対して財産評価基本通達6項が適用された事例

事例① タワマン節税に対して財産評価基本通達 6 項が適用(最高裁令和 4 年 4 月 19 日三小判決)

高齢の被相続人が、相続開始前 3 年程前に賃貸用不動産を借入により購入し、被相続人が死亡後に当該不動産を財産評価基本通達の基づき相続税申告書を提出しました。

しかし、被相続人が生前から相続税の圧縮を認識して不動産を購入したことは、通達評価によらないことが相当と認められる「特別の事情」がある場合に相当するため、鑑定評価額による更正処分が適正であると判断されました。

POINT

  1. 鑑定評価額と通達評価額の乖離差が大きい
  2. 税負担の軽減額が大きい
  3. 節税の意図が伺える
  4. 被相続人や相続人の行為が異常である
  5. 直前に不動産の購入している
  6. 不動産の購入資金が借入金である

上記に当てはまる場合は、財産評価通達 6 項が適用されるリスクが高いと考えられます。

事例2:土地建物一括譲渡に係る消費税を巡り国敗訴した事例

事例2:土地建物一括譲渡に係る消費税を巡り国敗訴(東京地裁令和 4 年 6 月 7 日確定)

固定資産税評価額による価額比を用いることは、一般的には、合理性があるとして実務において利用されていますが、不動産の個別的要因を考慮した適正な鑑定が行われた場合には、評価額による価格比を用いて按分するのがより合理的であると判断されました。

POINT

法人税、所得税等及び消費税等においては、財産評価基本通達がそのまま適用されませんので、鑑定評価が活用されています。

事例3:旧耐震基準のマンション住戸につき、実際の売却価額をもとに時点修正した価額での是非

例3:旧耐震基準のマンション住戸につき、実際の売却価額をもとに時点修正した価額での是非(平成 22 年 9 月 27 日裁決)

本件マンション住戸の売却価額が通達評価額を下回ったのは、一棟の建物の旧耐震基準という個別的要因や床の傷みがひどいなどの専有部分の個別的要因に基づく減価が固定資産税評価額に反映されていなかったとして、納税者が主張する実際の売却価額を基に時点修正する方法を合理的と認められました。

POINT

このように築年数が古いマンションや維持管理が特に悪い場合には固定資産税評価額に反映されていないことがありますので、鑑定評価を検討する必要があると思います。

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